女優の堀北真希が、吉田恵輔監督の最新作「麦子さんと」に主演していることがわかった。堀北は、「白夜行」以来約2年ぶりに単独主演を務める。また、兄役で松田龍平、母役で余貴美子が出演することも発表された。 「麦子さんと」は、「純喫茶磯辺」(2008)や「ばしゃ馬さんとビッグマウス」(今秋公開)など、秀逸な脚本を手がけることで知られる吉田監督が、構想に7年を要してクランクインにこぎ着けた意欲作。父の死後、兄と暮らしていた麦子のもとに、幼少期に家を出て音信不通になっていた母・彩子が戻ってきた。久々の母との生活に戸惑う麦子だが、病気を隠していた母がほどなくして亡くなってしまうという設定だ。 吉田監督は、「私が親不孝だったこともあり、母に対して素直にいえない思いを作品にしました」と製作経緯を説明する。それでも、麦子が納骨のため母の故郷を訪れると、かつて町のアイドルだった頃の母に酷似しているため町中が色めき立つ場面など、ユーモアを織り交ぜた“吉田節”は健在。堀北の起用については、「麦子役には私自身、一番色めき立つ存在の堀北さんにお願いしました。堀北さんは美しさとかわいらしさを両方持つ、麦子のイメージに合う希有な存在。しっかりと役作りをしてきた彼女は、私が演出する必要がないほど完ぺきでした」と太鼓判を押す。 堀北は、声優を志望するものの将来の目指すべき方向性に揺れ動いているという役どころ。自分たちを捨てた母に反感を抱きながら、本当の気持ちに気づいていくという描写もあり「麦子が母との再会、そして永遠の別れを通して一歩大人になる、その過程の複雑な感情を思い描きながら演じた」という。吉田監督からはドキュメンタリーのような芝居をリクエストされたそうで、「とても難しかったですが、大げさにならず、見ている方に感情移入してもらえるよう頑張りました」と振り返っている。 兄役の松田は「家族の話ですし、実際に妹もいるので、共感できる部分があって楽しかったです」と述懐。母・彩子を演じた余は、「吉田組は今までの現場で味わったことのない不思議な雰囲気でした。監督の人柄なのか、声を荒げる人もなく、誰もささくれ立っていない、粛々と現場が進んでいくこの感じは初めての体験でした」とコメントを寄せた。 撮影は、山梨・都留および都内近郊で行われ、2月16日にクランクアップを迎えた。 「麦子さんと」は、今秋に全国で公開。
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