よしもとばなな氏の「白河夜船」が写真家・若木信吾のメガホンで映画化されることになり、「かぞくのくに」(ヤン・ヨンヒ監督)で兄妹役を熱演した安藤サクラと井浦新が再共演を果たすことが明らかになった。 第55回ブルーリボン賞で主演女優賞、助演男優賞を受賞した安藤と井浦が、恋人役で再び相まみえる。「かぞくのくに」以降も積極的に映画出演を続け、今年は「0.5ミリ」「百円の恋」に主演する安藤が演じるのは、植物状態の妻をもつ恋人・岩永との不毛な不倫関係を続ける主人公の寺子だ。一方、岩永役の井浦も同作以降、「千年の愉楽」「そして父になる」「ジ、エクストリーム、スキヤキ」「ふしぎな岬の物語」「悼む人」など、ジャンルにとらわれない作品群に名を連ねることでさらに経験を積んでおり、2人が今作にどのような相乗効果をもたらすのかに大きな注目が集まる。 1989年に発表されたよしもと氏の同名小説が原作。“添い寝屋”をしていた最愛の親友しおり(谷村美月)の死に衝撃を受けた寺子の眠りはどんどん深く長くなり、岩永との不倫による埋められないさみしさが身に迫る。抜けられない息苦しさを“夜”に投影し、生きて愛することのせつなさを描く。 撮影も兼ねる若木監督は、「星影のワルツ」で07年に初メガホン。原作ものを手がけるのは初めてとなるが、「今回は『眠り』という言葉がキーワードのひとつとなっています。ロケセットは、どの部屋にもベッドがあるのも特徴のひとつです」と語る。主演の安藤については、「カメラをのぞいている間、これほど集中して長い時間、役者の動きにみせられたことはありませんでした。テイクごとに違った動きを見せてくれるのが新鮮で、手持ちで小さなカメラで追いかけることができたのがラッキーでした」と称賛している。 なお、漫画家・内田春菊の次女・紅甘(ぐあま)が岩永の妻の分身でもある少女を演じ、「メンズノンノ」の専属モデルとして活躍する高橋義明が、しおりの元恋人役で銀幕デビューを果たす。ほか、伊沢麿紀、竹厚綾も出演。撮影は9月9日に都内でクランクインし、すでに撮了。現在はポスプロ中だ。 「白河夜船」は2015年ゴールデンウィーク、東京・テアトル新宿ほかで公開。
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